主催者挨拶
九州文化財研究所は文化財の専門企業として、平成5年の創設以来、多くの方々のおかげをもちまして、微力ながら地域文化の振興を目指した取り組みを行って参りました。
この度、当研究所顧問で「菊池川自然塾」主宰の冨田克敏博士の企画により、講演会を開催することとなりました。当研究所が、地域貢献の一環として全面的に応援させていただいているのが、この「菊池川自然塾」なのです。
自然塾は、主に小学生・中学生・高校生が、野外での自然観察の結果を整理し、そこで学んだ知識や経験を学校や社会に還元していく、いわば生の自然による能力開発の場となっており、各方面から注目を集めています。
この取り組みに対し、冨田博士と京都大学以来の友人でいらっしゃるノーベル物理学賞受賞者 益川敏英博士が積極的に賛同されました。益川博士の自らの経験や思いをもって、将来を担う若者たちと語りあう機会をもつことができたらとのことです。
また、今回は自らも政治学者である蒲島郁夫熊本県知事をはじめ、谷口功熊本大学学長・猪飼隆明大阪大学名誉教授もご参加いただくこととなりました。熊本の若い人たちが科学への理解を深め、興味をふくらませるメッセージが得られることでしょう。
この会を主催します九州文化財研究所といたしましても、熊本の小学生・中学生・高校生・大学生の若い人たちの参加をいただき、今日、目まぐるしく進歩している科学分野で、その中心的な役割を荷負っておられる科学者と直に接する機会を持つことは、極めて有意義な機会であると考えております。
この講演会およびパネルディスカッションが、未来を担う若者たちの何かのきっかけになれば幸いです。
2010年3月14日
九州文化財研究所
代表 徳永和人
企画者挨拶
菊池川自然塾設立の目的は、これからの世代を担う若者たちが、より深く自然を観察して、具体的に理解し、自然の真理を効果的に学ぶことです。
(効果的にするためには、塾が「若者達が切磋琢磨する」場で無ければならない。また、学ぶに相応しい「豊かな自然」が豊富である場に塾は設置されねばならないと考えています。)
この目的の趣旨は、次世代の若者達が、現在、自然とのかかわり係わり合いが希薄になり、自然の理解が脆弱になってきているのを、少しでも取り戻すための機会をつくりたいということです。
若者達の自然の理解が脆弱になってきているのは、「理科離れ」として現われています。
何時の時代も、人間は自然との係わり合いの中で、生きてきました。これからもこの関係は、変わらないのです。
自然の中でしか生きていけない人間は、自然の成り立ち、はたらき、そしてその変化を系統的に理解し、自然の奥底にある真理を突き止めようと努力してきました。それが自然科学として体系化されてきているのです。
自然に対する人類の理解を基礎に、人類は社会を構築し、食糧をはじめとして様々なものを作り出し、経済活動をはじめました。人類社会の営みは、自然を抜きにありえないのです。まさに文化、政治、経済は自然の理解なしには進みません。そのことを基礎として、体系化したのが人文科学であり、社会科学なのです。
このような菊池川自然塾の理念を具体化する活動を、広く熊本の若者に理解してもらうとともに、「自然の理解なしに、未来は展望できない」ことを、先人に語ってもらい、それを多くの熊本の若者の心に響かせられるようにと考え、講演とパネルディスカッションを企画した次第です。
2010年3月14日
菊池川自然塾主宰
九州文化財研究所顧問
冨田克敏